1 岐路に立つ福塩線
2023年6月26日
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福山駅(5:45)→府中駅(6:32) 普通 府中行
おはようございます。本日は福塩線を利用して山陰方面へと北上します。まずは府中行の始発列車に乗車。
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府中駅に到着しました。府中と言えば競馬を思い出しますがそことは違います。街中をうろうろして駅に戻ると福塩線バージョンの鉄道唱歌の歌詞が展示されてました。
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府中(7:04)→吉舎(8:20) 普通 三次行
府中駅から乗車する三次行は1両編成のディーゼルカー。府中から三次方面に行く列車は一日わずか5本。7時04分発の次は15時00分の超閑散路線です。
車内は10数名ほどのお客さまが乗ってましたがそのほとんどが高校生で地元の方は少なめでした。途中の河佐駅ですれ違った福山行の列車は立ち客が出るほどでしたがほぼ高校生。列車はスクールトレイン化しております。
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吉舎駅で途中下車をしましたが近隣の日影館(にっしょうかん)高校の生徒さんも一緒に下車しました。駅入り口にあったのれんは地元のデニム製造会社「カイハラ産業」製で写真のような美しさ!!
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吉舎駅はかつて有人駅だったので駅舎内には事務室がありきれいな状態。駅の外にものれんがありこちらは高校生のデザイン。
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駅の中を見てみると臨時列車のご案内がありました。案内をよく見てみると運行される日は6月と7月の数日のみです。そこにいた地元の方が教えてくれたのは学校内の試験のためだということ。そうか、定期試験や終業式の日は午前中で学校が終わるけど定期列車がないから臨時列車を設定したということになる。状況が厳しいとはいえ地元のために足を確保してくれるのはさすがJR!と感じました。しかしその後でこんな一言が。
列車は高校生しか利用してない、路線バスは本数が列車の倍で運賃は倍だけど地元のお年寄りはそっちを使っている。
いまや福塩線は高校生のためにあるようなもので地元の方は便利なバスを使っているのです。もし高校が統廃合などで市街地に移転したりするとこの先どうなるのか…。
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吉舎(8:50)→三次(9:20) 普通 三次行
吉舎駅始発の列車が定期列車でありましたがこの列車は三次を7時37分に発車して8時10分に吉舎駅に到着してその折り返し。しかもこの列車は2020年にコロナ対策で沿線の高校で時差通学を行うにあたり最初平日のみ設定されて2021年の10月には定期列車となりました。よく考えたら河佐駅ですれ違った三次発福山行の列車が立ち客が出るほどだったのでコロナ前は相当な混雑だったんだなあと感じました。その折り返しの列車は高校生を運ぶ役目を終えたのか出発時点では私一人でしたが途中の三良坂駅では地元の住民が数名乗ってきました。利用客が少ないとはいえ地域の重要な足であることを感じました。
2 旧三江線のその後は…
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三次駅に定刻で到着。駅前にはこの後に乗る備北交通の路線バスがいました。この路線バスは2018年に廃線になった三江線の代行バスも運行していて私は2016年に江津から全線乗車しました。前回は全線乗り通しただけですが今回は途中何か所か降りて町を訪問します。
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バスの時間まで三次市内を散策して和菓子屋で饅頭などをを購入。この店は芸備線の東城駅付近に本店のある店舗で竹屋饅頭は糀を使った賞味期限2日の饅頭、もちろんその場でいただきました。その後は近くのスーパーで昼食を調達。
竹屋饅頭 三次支店
〒728-0014 広島県三次市十日市南1丁目6−10
0824-62-3707
8:00~18:00
三次駅から徒歩8分
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三次駅(10:41)→口羽町(11:34)備北交通バス
それではこれより旧三江線の旅の始まり、まずは旧口羽駅まで向かいます。
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市内にはまだ三江線の高架橋が残っていました。途中の三次もののけミュージアムまでは外国人の家族連れが乗るほどにぎわってましたが山間部に入ると車内は静かになりました。
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江の川に沿ってバスは進んでいきます。廃線から5年しかたってないので線路状態は比較的良好。
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口羽町バス停で途中下車してバスは出発。
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口羽駅付近を散策してましたが踏切の一部が残ってました。列車が来てないとはいえ線路内は立ち入り禁止、昼食はこの近くにあった橋で食べました。
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三江線は1930年に工事が始まったものの1975年に全通した当時はすでに沿線住民の移動の足は車になってました。江津から三次間は100㎞超えの路線で陰陽連絡の役割を果たすつもりですがすでに失われていました。川に沿っているのでカーブが多く全線乗車した時は3時間以上かかりました。こちらは駅近くにあった三江線全線開通記念の石碑。
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旧口羽駅はまだきれいな状態で残っていました。廃止後は宇都井駅と合わせて周辺を鉄道公園として整備がされました。
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この口羽駅周辺は線路状態がとても良好で休日にはNPO法人「江の川鉄道」によるトロッコ列車も運行されます。駅のホーム、さらには線路まで立ち入ることができます。旧三江線の駅の中で自由に立ち入れるのはここだけ。
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口羽町(13:53)→道の駅GR大和(14:18)備北交通バス
口羽駅を発車して再び路線バスの旅、座席に描かれてたイラストがとてもかわいい。中にはバス会社の職員らしい方が乗車してて何か記録しているようでした。
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島根県美郷町の道の駅グリーンロード大和は旧石見都賀駅に近い道の駅。町の訪問記念に入浴剤を購入しました。
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道の駅から10分ほど歩くと石見都賀駅に到着しました。なお駅構内は立ち入り禁止となっていて入れませんでした。
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道の駅GR大和(15:18)→粕淵駅(15:46)大和観光バス
粕淵駅までは運行会社が「大和観光バス」に変わります。このバスはスクールバスとしての役割もあるようで地元の小中学生で車内は大賑わい!!気分としてはスクールバスに侵入した部外者のよう(笑)このバスのすごいところはバス停でないところでも送り迎えのために親が立っていたらそこで降ろしてくれました。そして子供たちは親の運転するマイカーに乗って各自宅へと向かっていきました。
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粕淵駅の構内は線路が歩道として整備されていました。線路上は枕木などで凹凸が多いのでこのように安全に整備されてかつての鉄道を感じられるのはいいこと。奥に見えるのは江の川に架かるかつての三江線の橋梁。
駅の中には駅ノートがありましたがその中でローカル線の現実を見るようなコメントがありました。
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福塩線の吉舎駅で地元の方が言ってたのと重なりますが地元の方が乗ってないと鉄道の役割は終わったようなものです。鉄道は車両や施設の維持、運行に莫大なコストがかかりますしなによりJRは株式会社。お金を生み出さない事業は手放したいと思います。なんだか心に突き刺さってしまいました。
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美郷町役場にも近く私も役場を訪問。役場の近くには図書館がありバスの時間まで読書。
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美郷町役場(17:12)→石見川本駅(17:40)大和観光バス
役場からバスの乗って到着したのは旧石見川本駅、駅舎は残ってますが現在は島根中央銀行の支店として使われています。
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夕食時も近いので街中を歩いてましたがすべての飲食店がやってはいません。その中で一軒の焼き鳥屋が営業してたので入店。女将さん一人で切り盛りしてて8人入れば満席。ビールが飲みたかったのですが旅はまだ続くのでウーロン茶で我慢して焼き鳥を頼みました。ねぎまは一本100円で他にも手羽先、砂肝がありました。本格的な焼き鳥は久しぶり!!
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メニューの中には焼うどんもあったので頼んだら作ってくれました。野菜多めの焼きうどんでなんか小さいころに食べた母親の味を思い出しました。女将さんは温かみのある方で話しやすかったです。ごちそうさまでした!
焼き鳥 洋子
〒696-0001 島根県邑智郡川本町元町541−6
18:00~22:00
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石見川本駅は三江線の中間駅で唯一駅員のいた駅で窓口が残ってました。昭和47年の水害の時は写真の窓口の高さまで水が来たそう…。
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石見川本駅(19:50)→江津駅(20:58)石見交通バス
石見川本駅からはいよいよ三江線の終点、江津駅を目指します。石見交通の路線バスは2023年5月から交通系ICカードも利用可能になり地方にもキャッシュレスの波が来てることを感じました。
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20時以降は明るかった空が一気に真っ暗になってなんだか肝試しのような気分でした。路線バスに乗って感じたことは
乗員乗客ともワンマン
地方の路線バスはほとんどがこのような状態ですがこれを見ると三江線を廃線にしたのは正解だと思います。やはり輸送量に見合った交通機関にするべきだと感じました。江津市内に入ると地元の方も少しずつ増えてきました。
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江津(21:04)→(21:30)浜田(21:41)→益田(22:28)
江津駅からはさらに今晩の宿泊先の益田駅まで列車で移動。
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益田駅から歩いたところにある今宵の宿は簡易宿所タイプのホテル。なので扉は簡易的で完全な密室にはなりません。しかしダイヤル付きの金庫はあるので防犯面ではGOOD、VODと翌日の朝食も無料!(簡易宿所は男性専用)
瑞穂イン石見益田
〒698-0027 島根県益田市あけぼの東町2-1 小野沢ビル
15:00チェックイン 10:00チェックアウト
益田駅から徒歩9分
2023年6月27日
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この日は益田駅から3駅先にある岡見駅へおでかけ。車両の色はかつて三江線を走っていたのと同じ。
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岡見駅から10分以上歩いて見えてきたのはでかい施設!これは中国電力三隅発電所で石炭をエネルギーとする火力発電所です。岡見駅近くの集落よりもこの施設のほうがでかく感じます。
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発電所近くには線路が見えましたがこれは山陰本線の旧線を利用した中国電力の専用線。発電所から出た石炭灰を貨物列車で美祢線を経由してセメントの町宇部まで運んでいたそう。
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その後は浜田市内で鉄道の遺跡を散策。その後は浜田市内から路線バスで益田駅まで移動。
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益田市内の石見交通営業所まで乗車してその近くにお菓子のお店を見つけました。ロールケーキとふんわりとしたダックワーズは甘く山陰本線の車両を眺めながらあっという間に完食。おいしかった!
菓子工房 COCO
〒698-0022 島根県益田市有明町4−71 2F
10:00~16:30
益田駅から徒歩13分
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益田市内では図書館を訪問して夕食調達で訪れたスーパーの出店で島根産のチーズを使ったチーズドックをパクリ。
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萩・石見空港(18:15)→羽田空港(19:50) ANA728便
3日間の中国地方の旅を終えてここでも初利用の萩・石見空港からANAの飛行機で羽田空港まで飛びます。この日はツアーのお客さまが多いのか機内はほぼ満席。機内サービスのCAさんも大忙しでおしゃべりを楽しむお客さまで少しの盛り上がり。
これこそ公共交通の強みだ!
交通機関というのは一度に多くの人と物を運べるのがメリットでこのフライトではそれを感じることができました。先週の北海道や今回の山陰山陽で訪れた交通機関などはそのメリットが生かせてないところがあるので今後は柔軟に対応ができればと思いました。
さらに当時の国鉄はとにかく採算に関係なくありとあらゆるところに線路を敷こうとしてたところに驚きました。1980年代に赤字の路線が一気に廃線されましたが現代でも赤字ローカル線はまだ残ってます。コロナ渦でローカル線の赤字を都市部の黒字で補うことができなくなり今また大量廃線の岐路に立っていて今後の地域の足がどうなるのか気になるところです。私は今後も日本各地の公共交通を訪問していきたいと思います。本日もご覧くださりありがとうございます。
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